量くん
去年5月1日に旅立って一年間が過ぎたね。49日間の奇跡と、この一年間の中で君から受け止めた数回のメッセージから考えて、
肉体を無くしはしたけれど、魂という精神は生きていて、電波の中で、感じ取る力があることを信じて疑わない。
で、量くんには、「必ず直すよ」という約束を果たせず、救えなかったこと…そのほかにも謝らなければならないことが沢山あるけれど、それはいつも心で念じているから、届いていると思う。
ただ、君の病気について、私がこの1年間、考え、結論を出せたので報告しておこうと思う。
君が幼い時、盲腸にかかったにも拘わらず、お医者さんが風邪だと判断したことに、食い下がって血液検査をしてもらったあの時の母さんの強気を君は覚えているだろうか。白血球を調べてくれと言い張った強気だ。結局腹膜炎は重篤状態だったことを発見して、ただの風邪じゃなかった君を救った。そういうことは2度ほどあったね。インフルエンザの時もそうだったし、額に命取りと言われるめんちょうのひどいのができたときも運よく助けれた。いつも、お医者さんの誤診とか不適切な治療にあって、そのたびに母さんは医者の言うことに抗うようなやり方で君を救ってきたと思う。それは自負とかじゃなくて、苦肉の策がいい結果をもたらしたという偶然だった。
しかし今回ばかりは、一旦、専門医の診療方法、その専門医を頼ったばかりに、内科の体調のことで、他の病院に行っても、そちらの専門医に相談してくださいという門前払いをくらうことになり、専門医すら新薬を試すことに必死で、肝心の病因を知ることができず、母さんのその強気は無効だった。
2008年の3月から旅立つまでの4年間、ほんとうに苦しかったね。
ようやく、量くんの病気が何だったのか、母さんはほぼ検討がついた。
で、ただ、どうしてこれほどもまでに、どの薬を飲んでも頭痛と嘔吐を繰り返し、痒みの副作用が起きて、苦しまなければならなかったのか、そのあげく肝臓を痛め、血管がボロボロになり心臓マヒ…という経緯をたどらなければならなかったのか…を母さんなりに、思い当たる事項を結んで一年間、考えてみた。もちろん、幼少期からの記憶と君が残した1年2年めまでの時の生活習慣の記録を元にだ。
そしてひとつの結論にたどり着いた。
量くん、ごめんね。母さんがもっと早く気づくべきだった。文章で書くのはつらいので詩にして君に送る
注)人間は大きく分けて呼吸器系と循環器系にわかれるという前者は大概呼吸器~肺疾患で、後者は循環器(癌になりやすい)体質だという 父さんも母さんも、お祖父さんお祖母さんも、たいてい後者だった。でも後者でも、良性のポリープとか腫瘍とかとは仲良く暮らしていけば 悪性にかわることも滅多に無い。それは脳波が乱れるのとたいして変らない確率で、どんな健康な人間でも、ガン細胞を持ちながら、体が疲労してその細胞に負けるとその細胞が増え始め、ガンに罹ったということになるらしい。だから循環器系と言おうが、呼吸器系といおうが人間はいずれ老衰とともに弱いところが出てくる程度の危険性なわけだ。
量くんへ
君が6歳の時
母さんは君の首の後ろにぐりぐりの小さなしこりを見つけた
手のひらで触れると違和感がかすかにある
そんな小さなしこりだった
君は覚えてるかな?
赤十字の病院に連れていってそのしこりを診てもらった
先生はそのしこりを触りながら、
まぁ、子供はよくこういうしこりが出ては成長の過程で
消えてゆくものですよ
風邪をひいたりするとリンパというのが腫れるのは侵入してきた菌をやっつけようと
働いてくれてるからです。
まぁ大丈夫でしょう
何かよっぽどのことで大きさが大きくなったり、頭痛とか出てきたときは
再検査必要ですが、大概無害のしこりでほっといても直りますよ
先生のその言葉にほっとして
その帰り、大阪城を見て、ソフトクリームなめながら公園であそんだっけ
それからガンダムだったか組み立て人形買ったのもその日の写真が残ってから
思い出したよ お昼、レストランでたべながらガンダム持って笑ってた・・・
それからそのしこり、大きくなることもなく、元気に育ったから
数年は触診してみたものの、それから母さんもすっかり忘れてしまってた
高圧線下や電磁波の被害でアトピーとガンの発症率が高まる
その影響下、そのよっぽどのことが進行していたんだね
大学一年の授業、頭痛で出れないからって友達に送ったメールが数通残っていた
痒みが出始めたのは倒れる前だった そのとき気づくべきだったね
ごめんね。頭痛くなったりしない?という質問をすることすら気づいてなかった
気づくべきだった
そのあげく、睡眠不足と過労とストレスで倒れた
倒れたのは腫瘍となって動き出した始まりだったんだね
部活も頭痛で休むというメールが残ってた
闘病期、何回も頭が痛いといっていた。
そのたびに吐いて、微熱が続いた
副作用のせいだと、薬の適不適にばかり気をとられて
内科のことを、ましてや昔のしこりのことなど母さんも考え付かなかった
尋常でない寝汗と痒みは副作用だけのせいだと思い込んでいた
でも、あの異様な痒みと頭痛は薬を飲む前から出ていた。
副作用ではそれほどまでの寝汗は出ない
あの突発性大発作もその腫瘍が原因していたんだね
毎日布団をほし毎日シーツを換えコインランドリーの乾燥に通った日々が続いた
そして3年目に入ったとき鼠頚部のリンパが腫れて足を引きづりながら歩いたね
と同時にその秋、痒み止めの薬を首筋に塗ったとき異様なくらい大きくなったしこりに気づいた
リンパ腫瘍…可動性のもの 痒みと発熱 寝汗の異常 脳てんかん発作を起こす
苦しかったね ほんとに苦しかったね
脳発作で倒れる前に内科で見てもらってたらよかった
もう遅かった…
でも、もしそれが分かったら手術手術で、頭は丸坊主にしなきゃならなかっただろう…
悪い病巣は取り除けて倒れることもなかったかもしれない。
でも、それもわからない。
逆に落ち込んだかもしれない。傷だらけの脳と包帯とで
体は倒れなくとも心が倒れたかもしれない。
副作用の痒みで七転八倒して、その痒みから開放されることだけ祈って
楽な時間を縫うように台本書いて友達に会った(…その方がマシだったかもしれない)
ぎりぎりまで書き上げた台本・・・お前のいのちだね
それでよかったのかもしれない
もう帰ってこれないだろうから
理由がわかっても仕方がないけれど、
でも電波の中で届くものなら
伝えておこう… ごめんね おそらく苦しみの本当の元はこれ…悪性リンパ種だったよ
もっと母さんが早く気がつけばよかったこと
6歳の時、直感したあの不安を忘れてはいけなかったこと
少なくとも倒れる恐怖と薬の副作用は避けれたかもしれなかったこと
ただ祝福のお迎えに、痛みや苦しみ、怖さの無い 今のお前の幸せを信じて 5月末日記す